Second Block の先読み
この記事は、SpeedCubing Advent Calendar 2023 12日目の記事です。前日の記事はいかのおすしさんの「パズルと数学の話」です。明日の記事はうぃるうぃるさんの「すべての面は片手で回せる」です。
Second Block とは
Second Block (以後 SB と呼びます。)は Roux Method における2番目のステップです。このステップでは、3つのエッジと2つのコーナー、合計5つのパーツをR面センターにくっつけ、右手側に 1×2×3 のブロックを作ります。
基本的に< U, R, r, M >系の回転のみで揃えます。持ち替え( y, y' など )はしません。
EOについて
EOは Edge Orientation の略で、エッジの向きを表します。
EOの判別方法
Rouxでは持ち替えをしないため、側面センターの色が変わりません。そのため、SBにおけるEOの判断方法はシンプルです。SBで揃える3つのエッジに関して、次のように判断できます。
- R面のセンターと同色のステッカーがF,B,R,L面にあるとき、EOはあっている。
- R面のセンターと同色のステッカーがU,D面にあるとき、EOはあっていない。
EOの変え方
M列を90度回転させると、M列にある4つのエッジの向きが変わります。
つまり、EOを変えたいエッジをM列に持っていき、r, r', M, M' のどれかを回すと、EOを反転させることができます。
M列の180度回転( M2, r2 )だとEOは変化しないので注意が必要です。
SBの先読み = エッジの先読み
先読みをするには、次に揃えるパーツを事前に見つけることが必要です。
次に揃えるパーツが直接見えない位置にあると先読みは難しくなります。
逆に、次に揃えるパーツが見つけやすい位置にあれば先読みは簡単になります。
SBの先読みについても同じことが言えます。実は、SBのコーナーの先読みは非常に簡単です。死角がないためです。
上の画像では、FB終了時点で、直接確認できるコーナーステッカーをピンクで、見えない位置にあるコーナーステッカーを紫で表しています。
揃えたいコーナーがどの位置にあっても、少なくとも一つのステッカーを直接確認できることが分かります。とても見つけやすいですね。
対して、SBのエッジの先読みは骨が折れます。
DBの位置が死角になっているからです。
揃えたいエッジがDBの位置に入っているとEOを直接確認することができず、先読みが途切れやすくなります。
エッジの先読みが止まらずにできるようになれば、SBも止まらずに揃えられるようになります。
先読みしやすい手順
M列を絡めた手順( r, r', M, M', M2, r2 を含む手順 )を積極的に使いましょう。先読みがやりやすくなります。
DBに埋まったエッジが移動して、直接確認できる位置に出てくるためです。
今揃えているエッジのEOがあっていて、R系とU系の回転だけで揃えられるような場合でも、M列を絡めた手順を使うことで、先読みがやりやすくなることがあります。
詳しい手順については後ほど説明します。
先読みしやすい状態
エッジがDBの位置に埋まっていなければ、少なくとも1つのステッカーを確認できるため、先読みしやすい状態であるといえます。
先読みのしやすい順にエッジの位置を分類すると、次のようになります。
- エッジがU面,もしくはFRの位置にある。
- エッジがBRもしくはDRの位置にある。
- エッジがDBの位置にある。
SBを解くときは、次に揃えるエッジをより先読みのしやすい位置に持っていく意識が必要です。
揃える順番
DR先入れ
- DRエッジを揃える
- 片方のCEペアを揃え、1×2×2に拡張
- 残ったCEペアを揃え、1×2×3に拡張
FR先入れ、BR先入れ
- FRエッジ(BRエッジ)をDRの位置に入れる。
- 対応するCEペアを作り、1×2×2に拡張
- 残ったCEペアも作り、1×2×3に拡張
CEペア先
1,DRを揃える
DRの揃え方
- (EOがあっていないとき)M列に持ってくる
- (EOがあっていないとき)M列を回して、EOをあわせる
- センターとくっつける
- おろす
r U r2
最初の r でEOを合わせています。
r2 U r U r2 もしくは r2 U' r' U' r2
r2 U で エッジをM列に運んでいます。
r2 U r2
EOを保存するために、r ではなく r2 とします。
次に揃えるエッジを見つけやすくするために、R系の回転はできるだけ二層回しを使います。DRを揃える間に、次に揃えるエッジを見つけ、できるだけU面に持っていきます。そうすることで、先読みしやすい状態になります。
FBDR
First Block と DR エッジを合わせてFBDRと呼びます。
DRエッジの位置に応じてFirst Block の解法を使い分けることで、手数を減らせることがあります。
また、インスペクション中にFBDRを読み切ることで、先読みの負担が劇的に減ります。SBで追うべきエッジの数が一個減るためです。FBを回している間に、DRエッジを目で追うだけでも効果があります。
詳しくは Zhouheng Sun 氏による解説を見てください。(丸投げ)以下に使い分けの一例を紹介します。
r' U' R' F R'
r' U' R' U F R'
r' U' R' U' F R'
U2 R' F' r' F'
2,片方のCEペアを揃える
具体的な手順に関しては、Kian Mansour 氏による手順表が分かりやすいです。
たくさん手順が並んでいますが、やっていることはすべて同じで、数手回して4つの基本形に持って行っているだけです。便宜上、ここではこれらを I 型、 T 型、 i 型、 t 型と呼ぶことにします。I 型と T 型 では EO があっていて、 i 型と t 型は EO があっていません。
(T) R U R'
(I) R U' R'
(i) r U r'
(t) r U' r'
先読みの観点から考えると、 I 型や T 型に持っていくよりも i 型か t 型に持って行った方がよいです。手順中に二層回しが含まれるため、エッジの先読みがやりやすいためです。次に揃えるエッジが見当たらない(先読みしやすい状態にない)場合は、エッジの EO があっているときでも、M 列を回して i 型や t 型に持っていきましょう。以下に一例を紹介します。
r U' r' U' ( r U' r' )
U M2 U' M' ( r U r' )
一つ目の手順は t 型に、二つ目の手順は i 型に持って行っています。
r U r' U' ( r U' r' )
t 型に持っていけます。
r U' r' U ( r U' r' )
t 型に持っていけます。
M2 U M' ( r U r' )
i 型です。
M' r U' r' U2 ( r U r' )
i 型です。
r U2 r' U' ( R U R' )
I 型や T 型に持っていく場合でも、手順途中を二層回しにできることがあります。
3,残りのCEペアを揃える
最初のCEペアとやることは全く同じです。先読みのことを考えなくていいので、好きなように解いてください。
練習方法
- 速い人の Example solves を見る。Kian Mansour 氏のものがおすすめです。
- Onionhoney's Roux Trainer で練習する。
- FB を崩さずに< R, U, r, M >で混ぜて、SB だけを練習する。
あとがき
Second Block の先読みについて解説しました。Second Block の面白さが伝わったならうれしいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。